日経新聞に掲載頂きました。

11月28日の日経新聞全国版に、私の言葉として掲載頂きました。本当に光栄なことです。
買ってない方もいると思いますんので、その日の記事をコピーしました。
30分程度の取材でここまで言いたい事をまとめてくれた吉本さんには、感謝しております。

今後はこの記事に恥じないような仕事を遂行したいと考えています。
下記記事の全文です。

関家具の一枚板が海外やBtoBでも選ばれる理由。

コスト削減よりも品質最優先

社員が直談判して立ち上げた一枚板事業

関家具は日本有数の家具産地である福岡県大川市に本社を構えている。家具の企画製造を、卸を事業の柱としている同社にはたくさんの自社ブランドがあが、その中でも一際インパクトがあるのが一枚板家具専門ブランド「アトリエ木馬」だ。

話を聞くのは、若くして一枚板事業を一手に取り仕切る、木馬事業部部長近藤翔太。元は中古車販売業を経営していたという、関家具の中でも異色の経歴を持つ人間だ。

「古い言い方かもしれませんが、一枚板という家具にロマンを感じて入社を決めたんです」
照れくさそうにすることもなく、明朗に話し始めてくれた。

関家具が一枚板事業を立ち上げたのは、8年前。当時は工場を一つも持っておらず、デザインした家具を契約工場に委託し製造する、いわゆるファブレスメーカーだっが、社員が社長に直談判して事業を立ち上げ、関家具初の自社工場もできた。

「正直に言うと私は一般の家具にあまり興味がなかったし、事業として特別魅力を感じていませんでした。けれど、一枚板という家具の存在を知ったときは興奮しました。樹齢数十年、数百年と言う大樹が、職人の手によって新たな命を吹き込まれ、工芸品とも呼べるような美しいテーブルになるんです。樹齢三百年のニホンの木だったら江戸時代から歴史を見つめてきた木なわけです。そんなテーブルが自宅やオフィスにあるってすごくないですか?」

近藤は楽しそうに続ける。
「これも正直に言いますが、あとは高く売れるという点に事業としてダイナミズムと言うかロマンを感じたんです。誤解してほしくないのは、決して不当に高く売るという意味ではありません。一部をのぞいてほとんどの家具はとにかく価格競争になってしまいますが、一枚板はその競争から逃れられるんです。厳密にいうと一枚板業界でも価格競争はありますが、アトリエ木馬は戦わない。なぜなら高く売れるだけの価値と理由があるからです」

烈な価格競争から脱却できる品質を追求

市場の価格競争から逃れられるその優位性とは一体何なのだろうか。
「関家具の一枚板は高いとよく言われます。たしかに安い一枚板も世の中には沢山ありますが、安さに理由があるのと同様、高いのにも理由があります

いくつかあげると、まずうちは樹齢に合わせて乾燥に2〜5年をかけます。時間をかけるほど当然コストもかかりますが、この工程で木の中の含水率をしっかり調整しないと板が反ったり割れたりしやすくなり、仕上がりの品質に大きく影響します。

会社としては早く製品化して売上にしたいというのが一般的な本音ですが、うちではそうはしません。また乾燥工程の最後には高周波プレス機をいう熱を加えるマシンで板全体の含水率を均等にし、さらに反りが起きにくくします。高周波プレス機の工程はかなり時間を要するため、生産効率もガクッと落ち、マシン自体も非常に高額だったのですが、それもひとえに品質のためです。

そしてもうひとつ特徴的なのが美しい塗装技術です。塗装と言っても色をつけるのではなく、木が持っている色を引き出す無色のオイル塗装とウレタン塗装です。薄く均一に塗装して乾いたら目の細かいヤスリで研磨、そしてまた塗装。表裏丁寧に3回ずつ繰り返します。これはひいき目なしに、一枚板業界でトップの塗装技術だと自信を持って言えます。」

メイドイン関家具の認知されるのが目標

アトリエ木馬は国内だけではなく、海外輸出もしていると聞く。
「11月現在で全国に直営店舗を13店舗構えていますが、外国のお客様の来店も多く、旅行で訪れた方が買って帰ってくださったり、中にはバイヤーの方もいらっしゃいます。そこから商談が始まって、今では香港を主とした中国、韓国、台湾、スペイン、ドバイ、小売店に輸出しています。外国の家具の展示会に出展することもありますが、個人法人全てのお客様が同じように感動してくださるのは、やはり品質の高さですね。

中国や韓国にはテーブルに使うのに適切な厚さでこれほど美しく加工する技術がないんだそうです。スペインには一枚板の文化があり、実際私たちもスペインからヨーロピアンウォールナットという上質な木を買い付けましたが、一枚板がポピュラーなスペインの方も、やっぱりメイドインジャパンは品質が違うね、と言って感動していました。

今後はメイドインジャパンではなく、メイドイン関家具という認知で買って頂けるようになるのが目標です」

海外輸出用は、主に家庭用のダイニングテーブルだが、国内ではBtoBの需要も多いと聞く。
「オフィスの会議テーブルであったり、飲食店のカウンター、ホテルのエントランスドアなど、ありがたいことにビジネスユースでもこれまで本当に多くのご依頼を頂いています。

クライアントから直接以来が来ることもあれば、クライアントが入居しているビルのプロパティマネジメント会社や、インテリアデザイナーの方からアトリエ木馬を指名していただくことも多くあり、一昨日伊勢志摩サミットが行われた志摩観光ホテルザクラシック様へも、サミットに合わせて8メートルのカウンターテーブルなどを納品させていただきました」

家具メーカーとしての総合力も大きな強み

アトリエ木馬がコンシューマーだけではなく、BtoBの現場でプロからも選ばれる理由は一体どこにあるのだろう。
「まずは、他社にない樹種の豊富さですね。取り扱い実績でいうと国内外の樹種200種類超、常時50種類は樹種をストックしています。一口に一枚板といっても樹種も杢目も色味も千差万別です。案件によって求められるものは全く違いますが、うちならそのニーズに応えられるんです。そして長尺サイズへの対応力ですね。BtoBだと家庭用では使わないような長尺サイズも以来がありますが、うちには長さ12メートル、幅1、35メートルまで加工できる日本最大級のマシンがあるため、長尺にも対応ができます」

12メートルというとコンテナトレーラーで運ばないといけませんけどね、と近藤は笑う。
「あとは当たり前ですけど結局は品質ですね。先程言ったように、アトリエ木馬はたとえコストがかかっても品質には絶対に妥協しませんから。それが信頼関係に繋がるのだと思います。

そして他の一枚板メーカーに絶対に真似できないのが、今年創業50年を迎えた家具メーカーとしてのノウハウと総合力です。関家具にはアトリエ木馬以外にも様々なブランドと豊富な商品数があります。一枚板の依頼があった際、例えばそれに合うチェアやソファ、照明まで提案できるんです。うちにはスペースデザイン事業部もありますから、空間全体をプロデュースすることもできますよ」

アトリエ木馬の一枚板は、実はテレビやドラマや映画にもよく使われている。
「こういったBtoBでは、直営店が大きな役割を果たしているんです。福岡まで来ていただかなくても最寄りの直営店で一枚板を見てアトリエ木馬の世界観を感じていただけるからです。あとよく聞くのは、たまたま過去に直営店を訪れたことのあるデザイナーさんが、デザインの打ち合わせの際に、アトリエ木馬のことを思い出してクライアントに提案してくださる、といったケースも結構あるそうです」

ぬくもりで世界を変えたい

最後に、近藤が見据える今後のビジョンを聞いた。
「先日、大川市が総力を挙げたクラフトマンズデイという大きなイベントが開催されました。大川の職人が海外のアーティストとコラボレーションしたりと、先進的で新たな大川家具の姿を提案できたと思うんですが、同イベントで作った全ての家具の販売をアトリエ木馬が任されたので、まずはそれで結果を残して、大川家具の名を全国に広めることが使命ですね。

あと大川の代名詞だった婚礼家具を復活させたいんです。ただし、昔のような桐ダンスではなく一枚板で。一枚板事業を始めて感じたのは、木が持つぬくもりには人が集まってくる、ということです。一枚板のテーブルを買っていただいたお客様からも、家族がダイニングで過ごす時間が増えた、と本当によく言っていただきます。

だったら、これからは結婚したらまずは夫婦で家族だんらんのための一枚板テーブルを買いに行く。夫婦で買いに行くなら婚礼家具と呼べないかもしれませんが、そういう文化があったら素敵だなと思うんです。一枚板は100年使えます。磨き直すこともできますから、例えばそれこそお子さんが結婚するときに嫁入り道具として代々受け継ぐこともできるんです。木のぬくもりで世界を変えたい。寝言を言うなと笑われるでしょうが、大真面目です。一枚板で家族の時間をより良く変えられるのなら、その小さな積み重ねで世界の価値観を変えられるはず。今はまだ数カ国にしか輸出していませんが、これからもっと一枚板のぬくもりを世界に届けたいと思っています」