新作家具を作る流れ

家具の企画・販売する場合の簡単な流れを記載します。たまたま匠工芸様と開発している商品がありますので、そちらを元に記載します。クレールオリジナル一枚板脚です。(名称仮)

  1. 企画・開発立案
  2. デザイナー選定・決定
  3. デザインの選定・決定
  4. 制作メーカー選定・決定
  5. サンプル制作・ブラシュアップ
  6. コスティング・売価設定
  7. 制作開始
  8. 販売

あくまでも国産家具の場合だと思いますので、注意してください。決まった流れがある訳でもありません。自社で全て完結するような開発であれば、まったく違う流れになると思います。弊社みたいに、社外の方々へご協力頂く場合には、頭の中を可視化する資料の準備は必要だと思います。

1:企画・開発立案

商品開発で一番大切な事は、企画です誰に?何を?いくらぐらいで?どのくらいの量を販売するのか??これを確定させることが一番重要です。それが決まった次にどのようなもの?をどこで作るのか?と言う流れになります。

ただ問題があります。一番重要なデザイン・価格が、この時点で見えない事が多いです。今回の企画の打ちあわせは、居酒屋です。飲みの中で何気なくお願いした事を、形にして頂きました。このようにデザイナー様が、期待以上の事、こちらの意図を組み取って頂ける場合はスムーズに行きます。

またお付き合いが長く、弊社の事を理解した人にご協力頂けると楽にここは攻略出来ます。

※この時点で、平成30年の2月23日です。(真冬の旭川です)

ただ、所見のデザイナー様・メーカー様の場合はそうは行きません。その場合は、企画段階で下記1~5が必要になります。

  1. コンセプトの共有
  2. デザインのアウトラインの共有
  3. マーケット(誰に?どこで?販売するのか?)出口戦略の共有
  4. 価格(上代の設定・卸商売をする場合は下代の設定)あくまでも目安の共有
  5. 物量(どのくらいの量を作成して、どのくらいの期間で販売するのか?の計画

今回は、クレールシリーズの追加です。「クレールシリーズの一枚板専用脚」こちらの制作をご依頼しました。この時点で、1・2・3に関してはクリアしてるみたいなモノです。

こちらの要望が、明確になっている事・分かりやすい事がとても重要です。

今回は、クレールシリーズの一枚板用脚と言うコンセプトです。もちろんチェアーとの相性が重要です。

デザインに関しても、クレールを実際にデザインした蛯名さんにご依頼したのでクリアしたも当然です。しかし3・4・5に関してはこの時点で、決める事が出来ません。本来であれば、しっかりと分析をして、この時点で3・4・5の叩き台を提出した方が尚スムーズに進みます。

但し、この時点で4(価格)を伝える事は難しいです。第一優先をどこに持ってくるのか??ここが一番重要です。私の優先順位・今回の企画の優先順位は、1・2です。その為、その他の項目を後回しにする事にしました。これも、一つのやり方です。大手では、あり得ないやり方ですが、時には理想から追う制作も必要です。

4(価格)先にを伝えると、デザイン・コンセプトが、疎かになる事もあります。理想と現実のギャップをこの時点でどれだけ埋めておくのか??が重要だと思っています。”特に譲れないモノ”を協力関係者の皆様と「意思疎通」する事が、大切です。

もちろん、プライスを第一優先に持って来る開発もありますし、流通量を第一優先に持ってくる企画・開発もあるかと思います。

2:デザイナーの選定・決定

選定と言うよりも今回は、この方でしか実現できない企画です。

コンセプト・デザインは決まっています。あくまでも「クレールの一枚板専用脚」を作る事が、第一優先事項です。その為、逆にこの方以外では、実現できない開発でもあります。

”クレールシリーズ・チェアー”を販売出来る力のある小売店様も、年々減ってきております。我々が今後チェアー販売拡大の為にも、合わせる脚は必須だと考えました。

蛯名紀之

Wikipedia(蛯名紀之)

弊社の社員であれば、知らない人は居ないと思います。この方は、私の北海道の父です。そして業界の父でもあります。本当にお世話になっている方です。約6年前、家具の事を、何も知らない私に親切丁寧にご指導頂きました。もちろん時には、厳しいお言葉も頂きました。本当に感謝しております。

蛯名デザインとの出会いは、クレールチェアーです。

私は未だに覚えております。まじでビビビッって来ました。笑

うそやろ・・・カッコ良すぎると思いました。すぐに多田さんに調べてもらい当月内に旭川まで出張に行った事を覚えております。やはり、思いたったらすぐに行動が一番ですね。当時、少しでも行く事に躊躇していたら蛯名さんとも、匠工芸さんとも出会えなかったかもしれません。

出合える事は出来ても、ここまで商売を拡大する事は出来なかったと思っています。

人の出会いには、タイミングがとても大切です。これは企業でも同じことが言えます。

あの時、知り合って無くても、いつかは知り合えて、商売をしていただろう・・・この考えは、大きな間違いです。知り合う事は出来ても、今みたいな商売をする事は不可能です。

企業・業界の状況は、すぐに変わります。半年遅れていたら弊社が、クレールを取り扱う事は、出来なかったと断言できます。

そのおかげで数年後には「シオン」と言う名作を取り扱う事が出来ました。本当に弊社の為に多大なるご協力を頂いた事をこの場でも、お礼申し上げます。

3:デザインの選定・決定

作るモノが決まりました。次にデザインを実際にお越して図面を書いて頂くセクションです。

ここから蛯名さんは、物凄く早いです。驚異的なスピードで、デザインを起こして頂きました。何より凄いのは、蛯名図面は、制作再度の事を考慮した図面です。制作不可能なデザインは絶対にありません。またあくまでもお客様の使い心地・安全面を考慮したデザインです。

すぐに図面を郵送頂きました。私には関係ない、実寸の図面付きです。もちろん二つ返事でOK致しました。

※この時点で、平成30年5月10日です。

一番難しい、デザインの決定が一瞬です。これこそ蛯名デザインです。もちろんクレールの一枚板専用脚と言う唯一無二の企画だった事もあると思います。

実物を早く見たくて、たまらない時期ですね。

4:制作メーカー選定・決定

デザイン・図面が完成したらいよいよ「どこで作るのか??」です。

ここも同様に、通常であれば、苦戦する所ですが、クレールシリーズと言う事で、チェアー同様に匠工芸様が一番の適任だろうと言う事になりました。今回は、コンセプト・作りたいモノがしっかりしてますので、蛯名様に頼りっきりになってしまいました。

もちろん、旭川のメーカー様の技術力の高さも十分にあります。材料の選定・木取り・バランス・削り・仕上げ・どこを取ってもお上手です。一度地元のメーカー様に同じ商品を作って頂いた事ありますが、散々でした・・・材料の使い方も仕上げも、小さい所に差が出てしまいました。

その為、今回も旭川の匠工芸様にご依頼する流れとなりました。

5:サンプル制作・ブラシュアップ

コンセプト→作りたいモノ→デザイン→図面→工場まで決まりました。

ここは、試作が完成するのを、待つしかありません。もちろん近隣のメーカー様であれば、途中で見学に行った方が良いです。この”試作途中での見学”。本来は、これが何よりも、重要だったりします。

しかし九州と北海道です。距離の問題もあり、デザイナー様に頼る形になってしましました・・・

そして、いよいよメーカー様より、試作の画像が届きます。

※この時点で、平成30年8月9日です。

もう最高です。思った通りの商品が完成した事が画像を見ても分かります。蛯名さんのデザインを形にする事が本当に匠工芸様はお上手です。さすがだと思いました。

6:コスティング・売価設定

さーて・・・ここからです。ここからが一難難しい所です。

モノは理想通りの商品が完成しました。モノに価値を付けるセクションです。適正価格の導き出しです。

三方良し。この考えを念頭においていても、簡単は話では、ありません。メーカー様のご提示の価格を二つ返事で飲める力があれば、問題ありません。しかし弊社には、メーカー様のご提示の価格を二つ返事出来る力がありません。

その為「交渉」と言う形になります。これが商品開発・企画で、一番難しい所です。

間違えれば、今までの苦労が水の泡になります。もちろんデザイナー様・メーカー様・弊社にとって痛い損失となります。デザイナー様とメーカー様は時間と知恵を無駄にします。

我々は在庫・コストとして無駄にする事になります。

今回は、匠工芸様より、九州までモノを輸送頂き、大川市で打ちあわせをさせて頂ける事になりました。本当に感謝しております。本来であれば、私が行くべきところを、請快く引き受けて頂きました。

しかし弊社が理想とする価格と匠さんのご提示の価格の開きは大きかったです・・・これは厳しい内容だと思いました。

大川で、両名で実際のモノを見ながら本当に適正な価格を決める作業へと入りました。

※この時点で平成30年8月28日です。

ここで問題は、モノが良い事です。デザインも作りも最高です。だから是非販売したいのです。しかし価格が合いません。そこで我々が取った方法は、双方が希望の価格を伝え、後日再検討する事にしました。匠さん自身も、作り方を再検討してくれるそうです。

だいたいサンプル制作は実際の制作の3倍は、最低でもコストがかかると言われています。作った事無いモノを作る難しさ・刃物の作成・もちろんスピードが遅い為人件費が膨らみます。

今後我々が売り続ければ、メーカー様も作る事に慣れてコスト利益が出るようになると言う事です。いやーでもモノは最高でした。何を売るのか??は決まりました。ただ価格で折り合いが付かなければ販売する事は出来ません。

モノには必ず、「適正価格」があると思っています。必ず”流通させる上で適正な価格”があります。

いわゆる三方良しの価格です。作りて良し。売り手良し。世間良し。のプライスです。その為、私は木部が一本になっているところを、2本のして材料代を抑えれないか??または材料を変えてBK色で塗る事はどうだろうか??と色々とアイデアを出しております。

そこから実際にメーカー様でコスティングをしてみて、おいくらぐらいをご提示頂けるのか??です。ここは、メーカー様を信頼する他方法はありません。

7:制作開始

8:販売

となります。これからです。大切な事は、メーカー様の為にもコンスタントにお客様に商品を届ける事です。モノの安売りは行けません。但し、高すぎも良くありません。

それ以前に7・8に来るまでに、これほど苦労があります。我々営業マンは、ついついモノだけと見て、そこまでのバックボーンが見えなくなります。今、目の前にある商品も多大なる知恵と労力のお陰で成り立っています。大切に扱って、大切にお客様に届けましょう。

  • 「売れない」
  • 「高い」
  • 「ださい」

みたいなことを簡単に言っては、ダメです。昔みたいにメーカー様の見学を弊社も強化するべきだと思っています。現代のビジネスマンは、制作のバックボーンが見えない人が多いです。

それは、見ようとしていないから、見えないのです。

私は、一枚板の販売をするときも、条件として「製造を経験させて欲しい」と直談判しました。価格に納得が行かない時は、徹底して自分で商品の勉強をする事が一番効果的です。モノのバックボーンを見ようとしてください。見えている人は、モノが売れる人です。

”見えている事が見える”人は、普通です。”見えない事を見える”ようにする事が優秀なビジネスマン・営業マンです。

適正価格の方程式「作り手と、売り手の相思相愛」

結末は、どうなるか分かりません。私は匠工芸様に未来が見えてくれる事を願うだけです。目先のコスト計算も、もちろん大切ですが、その先の弊社との取り組みに、希望を見出してくれる事を願っています。

その売り手と、作り手の相思相愛が「適正価格」を導き出す方程式だと思います。

売り手が、作り手様に愛される秘訣は、「販売力と道徳」だと思っています。この二つを極めて、メーカー様に愛される販売チームになりたいですね。もし今回、商品制作まで行けなかった場合は、弊社に愛される力が足りなかったという事ですね。

行く行くは、日本中の作家さん・モノ作りに携わる人から愛される会社になりたいと心から思います。

あぁー・・・それにしもクレール脚・・・販売したい商品です。

絶対お客様に喜んで頂ける自信があります。

何とか、形になって欲しいと、心から思います。